番号 : | 339880 |
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分類 : | [日本貨幣 Japanese currency][未整理] |
オークション会社 : | オークション•ワールド |
落札価格 : | 3,774,000 JPY 3,400,000 (手数料、消費税を除く) |
競売日 : | 2024-10-19 |
説明 : | 欧米には、使い古された紙幣に有名人のサインをねだる風習があるらしい。1982年、オーストラリア、アデレード近郊に住むイアン・マックレオド氏の自宅に泥棒が入った。ひっくり返されたタンスの引き出しから、32年前に突っ込んでおいたことを忘れた100枚以上の写真に交ざって1枚の署名入りの日本の古紙幣が放り出されていた。彼の記憶がよみがえる。34年前、彼はオーストラリアの進駐軍の一員として東京にいた。そして、飲み友達になったアメリカ軍の兵士から1枚のサイン入り100円札を受け取った。彼の任務はスガモ・プリズンの看守で、囚人のA級戦犯からタバコなどの差し入れのお礼にサインをして貰ったとのことだった。その話を聞いた妻、ジョアンは地元のラジオのトークショーに出演していたアデレードのコインディーラー、ディオン・スキーナー氏に電話を入れた。後日、彼にそれを見せるとこう言われた。“紙幣そのものには価値が無いが、それとは比較にならない歴史の生き証人としての価値を持っている。それも国際的に重要なものだ。ここには最高位の8人の将軍を含め首相兼陸将だった東条英機がいる。署名した18人の内6人は絞首刑となり、10人は終身刑、1人は懲役20年、もう1人は7年。極めて特別な集団です。値段はつけようもないが、あえてつけるとすれば1万ドル(当時のレート、1豪ドル=¥250で250万円)以上の価値があるでしょう。当時の新聞によれば、イアンの“Priceless”紙幣はその後、シドニーでオークションにかけられたが、それが本品である。極東国際軍事裁判は、日本の指導者28人が1928年1月1日から1945年9月2日にかけて“侵略戦争”を起こす共同謀議により“平和愛好諸国民の利益並びに日本国民自身の利益を毀損”したとして、平和に対する罪(A級犯罪)、通常の戦争犯罪(B級犯罪)、及び人道に対する罪(C級犯罪)の容疑で裁いたものである。1946年5月3日に開廷し、1948年11月12日に判決言い渡しが終了した。病死2名と病気により免訴された1名(大川周明)を除いた25人の内、7人が死刑、16人が終身禁固刑、1人が各禁固刑20年と7年という判決であった。なお死刑は1948年12月23日に絞首刑として執行された。 改めて紙幣を見てみよう。以下のように各ローマ字と漢字により、下記の通り、表に11名、裏には6名のサインが青インクでなされている。何故か“広田弘毅”の名前が確認できず、17名の名前しか確認できないが、隠れているか消失したのかもしれない。1982年の新聞と寸分違わないので、イアンか彼の友人の勘違いによる故かもしれずミステリーである。 上記被告の中で、死刑を宣告されたのは東条英機、武藤章、板垣征四郎、木村兵太郎、松井岩根の5人とサイン未確認の広田弘毅、なお同様の札として巣鴨戦犯収容所のジョンソン氏が25人全員のサインを集めた4次100円札が“日本紙幣収集事典(原点社刊)に収蔵されている。表に15人裏に10人の署名が見えるが、表の15人のサインはローマ字のみである。さすがに25人全員のサインには100円札の余白は少なすぎたのだろう。そういった意味でローマ字と漢字のダブルサインを残した18人(17人?)は統一性が取れており、ひょっとしてこの人たちだけがスモーカーだったのではないかと空想してしまうのである。 気の良いヤンキーの若者の求めに応じてサインした彼らの胸に去来する感情はいかなるものか?又、それは判決の前だったのか後だったのか?いずれにせよ。A級戦犯とされた人々がサインして遺した本品は“大日本帝国”の終焉を宣言した彼らなりのレクイエムであり、諸外国との融和を目指した新生日本への誓いだったのかもしれません。日本史を飾る逸品です! 付帯資料、オーストラリアの新聞切抜を2枚、戦犯一覧表2枚(英文) |